2025年2月4日
第244回 津山市保育所職員研修 「児童虐待防止研修会」

研修会 等 報告

 

開催名   第244回 津山市保育所職員研修 「 児童虐待防止研修会 」                              

 

日  時  令和7年1月9日(木) 13:30~15:00                                        

 

場  所  津山すこやか・子どもセンター 2階多目的室                                        

 

参加者人数  施設長 5名、主任保育士 6名、保育士23名、保育教諭1名、看護師1名

栄養士 1名 計     37 名参加

 

内  容

演題:子どもたちの健やかな成長のために

講師:津山市こども子育て相談室職員

 

<内容>

  • 児童虐待とは
  • 津山市の現状
  • 対応と支援について
  • ヤングケアラーについて
  • 事例検討

 

1.児童虐待とは

子どもの持つ権利(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)が守れていない状態を虐待という。

 

・児童虐待が注目されるようになったのは、2004年栃木県の2人の幼い兄弟が父親の友人から虐待を受け、橋から川に落とされ、亡くなった。この事件をきっかけに「オレンジリボン運動」という市民運動が開始された。

 

〇児童虐待の定義

  • 身体的虐待 ②心理的虐待 ③ネグレクト(養育の放棄・怠慢) ④性的虐待

・しつけの中で暴力を使うと・・・

「暴力は即効性がある」と勘違いし、それ以外に子どもにわからせる方法をとらなくなり、子どもは相談できなくなっていき、ますます暴力がエスカレートする。

体罰はこどもの体と心を傷つけるので、一人ひとりが意識を変えていくことが必要。子育てに困っている家庭は、社会全体でも子育てを応援していくことが必要。

〇児童虐待による子どもへの影響

☆身体的な影響

暴力によるけが。栄養不良から発育発達に遅れがみられる。

経過をよく見ることが大切。体重が伸び悩んでいる、給食をよく食べるなど。

☆知的発達への影響

虐待を受けた子どもは知的発達の遅れが多くみられることがある。

要因としては、打撲等により頭部へのダメージが脳組織に障害を及ぼすこと。脅かされ、

無視されることなど不適切な環境下へ置かれ、中枢神経の発達に影響を及ぼすことが推測

される。

☆精神面・心理面への影響

・最も身近な親や保護者から認められないために自分に自信が持てない。自己肯定感が非常に低くなる。

・被害者意識が強くなる。自己認識や他社認識にゆがみが生じる。

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)を生じる危険性が高く、対人恐怖症、不安症状、抑うつ状態など精神状態や心理的反応を引き起こしやすくなる。

☆行動面への影響

・虐待を受けた子どもは自分より弱い立場の者に対して暴力的態度で接する傾向が多くみられる。虐待(暴力)の連鎖。

・無視されたり放置されたりした経験のある子どもは、その空虚感を解消するため、万引きや過食、アルコール・薬物依存などに走りやすいともいわれている。

 

2,津山市の現状

新規通告件数及び虐待判定件数は、毎年横ばいではあるが増加傾向にある。

要保護児童及び要支援児童数は、右肩上がりで増えている。R5年度は304人、そのうちレベル2,3(180人)の内訳で、ネグレクトが多く、実母が行っていることが多い。

 

・児童虐待の発生要因

家庭環境の要因、 保護者の要因(望まない妊娠、保護者自身が虐待経験を持っているなど)、子どもの要因(手がかかる子、何らかの育てにくさがあるなど)など、複数の要因が重なると教育困難になり、虐待へと発展していく 。

 

3、子ども・保護者への対応と支援

〇日頃からの関係作り

・日頃から子どもや保護者とのコミュニケーションをとることで、相談を受けたとき、共感的に話をききやすく、必要な支援が見えやすい。

・保護者に困り感があるときにはしっかり傾聴。内容に応じて、行政にも相談先があることを伝える(地区担当保健師、こども子育て相談室、児童相談所、DV相談窓口など)。

〇園内では管理職を含めて相談、共有(組織として判断)。

〇虐待が心配される兆候

<保護者>                       <子ども>

・表情が硬く、保育者と話したがらない。     ・保護者の言葉に緊張する。

・子どもに関心がない。               ・保育者が腕を上げると頭を抱えるなど防御態

・家庭での様子を話さない。              勢をとる。

・執拗に子どもを責める。              ・𠮟ってないのにすぐに「ごめんなさい」「𠮟ら

・傷やあざのことを不自然に弁解する。        ないで」という。

・病院に連れて行かない。              ・保育者のタッピングを異常に嫌がる。

・保護者の迎えを喜ばない。帰りたがらない。

〇不審な怪我があった場合

  •  けがの状態を確認。
  •  気になる傷あざの場合、写真を撮り記録を残す(撮るときは子どもへの配慮が必要)。
  •  子どもから事情を聞く。
  •  保護者に事情を聞く(困り感など、保護者の思いを尊重・子どもの話と相違ないか?)。
  •  帰宅させることが危険など、一時保護が必要なときは、児童相談所へ通告。
  •  その他の場合でも、通告が必要と判断した場合、子どもが園にいるうちに速やかに連絡を!

 

虐待が疑われる場合には、ためらわず通告を!

 

4.ヤングケアラーについて

なぜ支援が必要なのかというと、子どもの権利が侵害されている。

ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を日常的に負う。

例えば、・学校にいけない、授業中に居眠りをする。

・勉強する時間がない。

・部活や習い事ができない。

・友達と遊ぶ時間がない

・進学や就職をあきらめる。

 

最後に・・・養育困難な状態を防ぐために、まずは「児童虐待の正しい理解」をすることが大切で、

一番身近なところで「子どもへの支援」「親への支援」をされているので子どもとの関係、親との関係を大切にしていただけたらと思う。園の中での「見守り」、相談室などへの「連携」をよろしくお願いします。

 

5.事例検討

実際の事例を使って、対応などの勉強をした。

 

 

 

<アンケートより感想>26名 良かった23名、普通2名、今少し1名

・児童虐待について理解が深まった。事例検討を通してかかわり方の難しさを感じた。

・虐待研修をはじめて受けましたが現状についてわかり保育士として子どもを守る義務があること、その重要性について改めて強く感じることができた。園全体で話し合いを重ねながら未然に防げるよう努めていきたい。

・子どもたちに寄り添い変化などに気づいていくことができるようにし、保護者の方とも信頼関係を築いていくことが大切だと思った。

・子ども達の安心安全のためにしっかり見守っていきたいと思った。安心して相談できる職員になりたい。

・津山市の現状を知れたこと、また事例について考えることで、こういうことがあった時どんな対応をすればよいか知ることができてよかった。

・グループディスカッションが盛り上がらなかった。難しい。

・グループで色々と話合いながらできたので、色々な意見を聞くことができて良かった。ありがとうございました。

・数年前の事例検討よりさらに深い内容だった。再確認する機会となった。

 

 

 

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